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佐野恵太選手:ハマの主砲、その魅力に迫る

はじめに:「ハマの主砲」佐野恵太の軌跡と未来

横浜DeNAベイスターズの心臓部とも言える存在、佐野恵太選手。かつてキャプテンとしてチームを牽引し、首位打者のタイトルも獲得したその確かな実力は、多くのファンを魅了し続けています。

本記事では、ドラフト9位という下位指名から球界を代表する強打者へと成長を遂げた佐野選手の軌跡、卓越した打撃技術、チームをまとめ上げるリーダーシップ、そしてファンに愛されるその人柄に深く迫ります。佐野選手のような、技術と人間的魅力を兼ね備えた選手の歩みを追うことは、野球ファンにとって大きな喜びの一つと言えるでしょう。彼の物語は、単なる成績の羅列では語り尽くせない、努力と成長のドラマに満ちています。

プロフィールと球歴:ドラフト9位からの下剋上物語

横浜DeNAベイスターズの主軸を担う佐野恵太選手。ドラフト9位という評価を覆し、球界を代表するヒットメーカーへと駆け上がった彼のキャリアは、まさに「下剋上物語」そのものです。ここでは、その球歴とプロ入り後の歩みを詳しく見ていきましょう。

基本プロフィール

項目詳細
氏名佐野 恵太 (さの けいた)
生年月日1994年11月28日
出身地岡山県
身長/体重178cm/88kg
投打右投左打
ポジション外野手、一塁手
経歴広陵高等学校 – 明治大学 – 横浜DeNAベイスターズ (2016年ドラフト9位)

アマチュア時代の輝かしい実績

高校時代

広島県の野球名門・広陵高校に進学した佐野選手。3年次には捕手も経験するなど、様々なポジションでプレーしながら、その打撃センスを磨きました。

大学時代

高校卒業後は、かねてより憧れを抱いていたという東京六大学野球の強豪・明治大学へ進学。当時の明治大学は、後に阪神タイガースで活躍する高山俊選手など、錚々たるメンバーが揃っており、佐野選手自身もそのレベルの高さに衝撃を受けたと語っています。しかし、そこで臆することなく厳しい環境の中で自らを磨き上げ、プロへの道を切り開いていきました。高校2年生の春には監督に「明治大学で野球がしたい」と伝えるなど、早くから高い目標を掲げていたその強い意志と向上心が、後のプロでの成功に繋がったと言えるでしょう。

プロ入りと横浜DeNAベイスターズでの歩み

2016年のプロ野球ドラフト会議で、佐野選手は横浜DeNAベイスターズから9位指名を受け、プロ入りを果たしました。支配下登録選手としては全体87人中84番目、セントラル・リーグでは最後の指名という、決して高い評価ではありませんでした。当時の高田繁ゼネラルマネージャーは、代打としての適性を評価していたとされています。

しかし、佐野選手はその下位指名という評価を覆すかのように、着実に実力を伸ばしていきます。プロ入り翌年の2017年には、台湾で開催されたアジアウインターベースボールリーグでMVPを獲得するなど、早くからその才能の片鱗を見せていました。

そして、その努力は2020年に首位打者獲得(打率.328)という最高の形で結実します。さらに2022年には最多安打のタイトルも手にし、ベストナインにも複数回選出されるなど、球界を代表する打者へと成長を遂げました。ドラフト9位指名から年俸1億円を超えるプレイヤーへと駆け上がったその道のりは、多くのファンに夢と感動を与えています。

【表1】佐野恵太選手 年度別主要タイトル

タイトル
2020年首位打者
2020年ベストナイン(外野手)
2022年最多安打
2022年ベストナイン(一塁手)

【表2】佐野恵太選手 年度別打撃成績 (2024年シーズンまで)

年度球団試合打数得点安打二塁打三塁打本塁打打点盗塁四球三振打率出塁率長打率OPS
2017DeNA1821121001035.095.208.143.351
2018DeNA73126629405141326.230.246.381.627
2019DeNA89200235910053301339.295.344.420.764
2020DeNA10640248132201206904258.328.395.532.927
2021DeNA14354573165342177206173.303.376.466.842
2022DeNA13352663161291227224357.306.362.490.853
2023DeNA14156067148262136504677.264.323.388.711
2024DeNA1395245114334086203553.273.322.384.705

打撃の真髄:首位打者を獲得した技術と勝負強さ

特徴的な打撃フォームと広角打法

佐野選手の打撃フォームは、「バットを体に巻き付かせるように打つタイプ」と評され、強いリストを生かしたインパクト後のバットの返しが体の近くで行われるのが特徴です。連続写真による分析では、トップの位置までは悪くないものの、踏み込みが浅く、グリップが後ろに残り、顔からバットが離れてしまう点が指摘されることもあります。しかし、この独特のフォームこそが、彼の高い打撃技術を支えていると言えるでしょう。

初球から100%の力で振ることを意識し、広角に打ち分ける技術は特筆すべきものです。ある試合では、左翼線二塁打、三遊間への左前打、左中間二塁打と、まさに広角打法を体現するような3安打を記録しています。この卓越したバットコントロールとミート力が、2020年の首位打者獲得(打率.328)という輝かしい実績に繋がったことは間違いありません。

クリーンアップとしての役割と得点力

佐野選手は、長年にわたり横浜DeNAベイスターズのクリーンアップを担い、その得点力でチームに貢献してきました。筒香嘉智選手がメジャーリーグへ移籍した後には、新たな4番打者としての重責を見事に果たしました。2020年に首位打者、2022年には最多安打のタイトルを獲得し、その勝負強さを証明しています。

初球から積極的に強いスイングを心掛けるスタイルは、相手バッテリーにとって大きな脅威となっています。彼の存在は、チームの得点パターンにおいて不可欠な要素であり、その打棒は常に勝利への鍵を握っています。

キャプテンシーとチームへの貢献

リーダーとしての佐野選手

2020年、佐野選手はチームのキャプテンに就任しました。就任当初は「変えなきゃいけない」という意識もあったようですが、経験を重ねる中で「どう飾ってもぼくはぼくでしかない」と、自分らしいリーダーシップの形を見出していきました。 特に印象的だったのは、コロナ禍という未曾有の事態における彼の行動力です。選手たちのモチベーションを上げるための映像制作を球団に働きかけ、当時の選手会長であった石田健大投手と共に「心をひとつに」というスローガンを考案し、チーム内外に団結を呼びかけました。これは、単にプレーでチームを引っ張るだけでなく、チームの精神的な支柱としての役割も果たそうとする、佐野選手の真摯な姿勢の表れと言えるでしょう。

ムードメーカーとしての一面と「デスターシャ」

佐野選手は、チームのムードメーカーとしても知られています。特に、本塁打を打った後などに見せる「デスターシャ」と呼ばれるパフォーマンスは、チームメイトやファンと一体となって喜びを分かち合う象徴的なシーンとなっています。このパフォーマンスは、佐野選手が発案したものではなく、チームメイトの牧秀悟選手らと共に広まったものですが、佐野選手自身も積極的に行い、ベンチやスタンドを盛り上げています。苦しいチーム状況の中でも、彼の明るさがチームに活気を与え、前向きな雰囲気を作り出すことに貢献しています。

守備での貢献

佐野選手は外野手と一塁手をこなすユーティリティー性も持ち合わせています。2024年シーズンでは、一塁手として34試合に出場し、失策わずか1、守備率.996という安定した成績を残しました。一方で、外野手としては、UZR(Ultimate Zone Rating)という守備指標でマイナスを記録することもあり、守備範囲については課題も指摘されています。しかし、複数のポジションを守れることはチームにとって大きな強みであり、打撃面での貢献と合わせて、チーム戦略の柔軟性を高めています。

佐野恵太選手が語る、野球への想い

佐野選手自身の言葉からは、彼の野球に対する真摯な姿勢や、キャプテンとしての思い、そしてファンへの感謝の気持ちが伝わってきます。

打撃について

「”見て”タイミングを合わせるのではなく、”振って”タイミングを合わせられたらと思っています。ベンチ、ネクストからタイミングを計って準備して初球から打ちにいけるように。あとは勝負強さをアピールしたいし、そういう打者を目指しています。強いスイングをすることは僕の柱にあるところです。1球目から100%の力で振ることを意識しています。今は広角にも打球が飛んでいるので、形はいいのかなと感じています」

キャプテンシーについて

「キャプテン1年目とかは、やっぱり、変えなきゃいけないと思っていたところがありました。でも2年目、3年目になるにつれて、どう飾ってもぼくはぼくでしかないと思い始めた。もちろん、みんなに見られているという責任感は持ちながらも、キャプテンというものにあまり縛られる必要はないのかな、と。チームを盛り上げてくれる選手もたくさんいますしね」

課題克服について(対左投手)

「3年目ぐらいですかね。相手が右ピッチャーのときにだけ打席に立たせてもらうことが多かった。レギュラーをつかむためには、左ピッチャーから打てるようにならないといけない」と、過去の課題と向き合い、克服してきた努力を語っています。

目標について

「個人タイトルはもちろん獲れるに越したことはないですけど、しっかりとチームの順位を押し上げられるような活躍をしたうえで、またタイトルを獲れるような成績を残したいと思います」

故郷・倉敷での自主トレについて(2025年1月)

「僕もプロに入団してから毎年1月は、先輩のソフトバンクの松田さん、それからベイスターズの宮崎さんにお世話になりながら練習していました」と、先輩選手との繋がりや、故郷での練習の意義を語っています。

2025年シーズンの意気込み(2025年1月)

「チームとして、リーグで優勝して日本一というところに掲げていますし、その中で僕自身も活躍をして、そこに大きく貢献できるように頑張りたいなと思います」

これらの言葉からは、佐野選手が常に現状に満足せず、高みを目指し続ける探求心と、チームへの強い想いを持っていることが伺えます。

おわりに:ファンを魅了し続ける佐野恵太選手のこれから

ドラフト9位からの下剋上、首位打者獲得、そしてキャプテンとしてのチーム牽引。佐野恵太選手の野球人生は、まさに努力と成長の物語です。その特徴的な打撃フォームから繰り出される広角への鋭い打球、勝負強いバッティングは、横浜DeNAベイスターズの得点力を支える大きな柱となっています。

グラウンド上での真摯なプレーはもちろんのこと、チームのムードメーカーとして、そしてリーダーとして、チームメイトやファンに与える影響も計り知れません。特にコロナ禍で見せたリーダーシップは、彼の人間性の深さを物語っています。

守備面では課題も指摘されますが、それを補って余りある打撃での貢献、そして複数のポジションをこなすユーティリティー性は、チームにとって貴重な存在です。彼自身の言葉からも、常に現状に満足せず、チームの勝利のために進化し続けようとする強い意志が感じられます。

佐野恵太選手は、単なる好打者ではなく、その人間味あふれるキャラクターと、逆境を乗り越えてきたストーリーで、多くのファンの心を掴んで離しません。これからも横浜DeNAベイスターズの中心選手として、そしてファンに愛される存在として、輝き続けることでしょう。彼の更なる活躍から目が離せません。

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